AmazonのAI人物画像新ルール施行:今回は「推奨」ではなく、罰金です

最近、セラー向けのコミュニティで「AI画像が削除された」「5,000ドルの罰金」といった話を見かけたなら、疑う必要はありません。本当の話です。
米ニューヨーク州の「合成パフォーマー開示法」(SB 8420-A)が正式に施行されたのに合わせて、Amazonも管理画面のルールを更新しました。商品メイン画像、画像ギャラリー、またはA+ページに、リアルなAI生成の人物が含まれている場合は、開示表示を完了しなければなりません。対応できていないと、軽ければ違反通知やlistingの削除、重ければ1回につき最大5,000ドルの罰金となります。SKUを大量展開する運用なら、リスクはその分だけ積み上がります。
以前からAIモデル画像やAIシーン画像で撮影コストを抑えてきた越境ECセラーにとって、この新ルールはかなり急に感じられるはずです。とはいえ、落ち着いて分解してみると、うわさほど複雑ではありません。大事なのは次の3点です。自分の画像が本当に表示対象なのか、ラベルをどこに書くのか、既存画像をどうすれば手間を抑えて補完できるのか。
一、まず慌てず、本当にラベルが必要な画像を確認する

新ルールが出た直後によくあった誤解は、「AIを使った画像は全部ラベルが必要」というものです。これは正確ではありません。実際にラベルが必要なのは、画像内にリアルで、AIによって生成された人物が登場するケースで、具体的には次のものを含みます。
- メイン画像やサブ画像のAI生成モデル。たとえ指先に指輪を着けた手、スキンケア商品を見せる腕、服の見え方を示す肩だけのような部分カットでも対象です。
- A+ページやブランドストア内のAI生成の実写風モデル画像。
- 商品動画に登場するAIデジタルヒューマン、AI音声出演、AI生成の「購入者レビュー風」人物。
逆に、次のようなケースはラベル不要です。
- 人物自体は実写撮影で、後加工でAI補正や肌補正をしただけの画像。
- 映画やゲームに登場する架空キャラクターの人物像。
- そもそも人物が写っていない画像、または人物が明らかにカートゥーンやイラスト調で、リアルな人間を再現していない画像。
判断基準は「顔が出ているかどうか」ではなく、「AIで、本物の人間に見える身体部位を生成したかどうか」です。ここを最初に誤解したセラーは少なくありません。顔が出ていなければ安全だと思っていても、手や腕のような部分アップのほうが、むしろ抜き取りチェックで見つかりやすいことがあります。
二、ラベルはどう付けるのか。画像そのものに影響はあるのか

次によくある落とし穴は、「ラベル付け」を画像上への透かしや文字追加だと思い込むことです。ここは、多くのセラーが最初に強く抵抗を感じた点でもあります。せっかく作った画像に、大きく「AI生成」と載せるわけにはいかない、という反応です。
実際にはそうではありません。Amazonが求めている開示ラベルは、画像ファイルのメタデータに書き込むものです。技術的にはXMP内のdc:subjectフィールドで、キーワードは contains-synthetic-performer です。これはファイル情報に埋め込まれる非表示のマークであり、画像の見た目そのものは一切変わりません。購入者が画像を見るときに文字や透かしが表示されることもありません。Amazonのシステムがこのタグを読み取ると、フロント側で自動的に「AI生成の人物を含む」という案内が表示され、セラー側のコンプライアンス対応は完了となります。
また、A+ Content Manager経由で素材をアップロードし、アップロード時に「AI生成コンテンツの申告」オプションへチェックを入れる場合は、別途メタデータタグを書く必要はありません。どちらか一方の方法で対応できます。ただし、画像をメイン画像やサブ画像として直接使う場合、または別の経路でアップロードする場合は、ファイル内にこのタグを正しく書き込む必要があります。
三、本当に手間がかかるのは既存画像

新しく追加する画像なら対応しやすく、デザイナーが書き出し時にタグを付ければ済みます。本当に頭が痛いのは、すでに数か月、あるいは数年にわたって販売中の既存listingです。特に、1つのListingに十数枚の画像があり、1アカウントで数百SKUを展開しているセラーにとっては、1枚ずつ確認して1枚ずつメタデータを修正する作業量は現実的ではありません。修正漏れも起きやすくなります。
こうしたとき、通常は2つの選択肢があります。
1つ目は手作業で1枚ずつ処理することです。対象画像を探し、専用ソフトでメタデータ編集を開き、キーワードを1つずつ書き込み、その後も正しく書き込めたかを1枚ずつ確認します。画像数が増えると、どれを修正済みで、どれが未対応かを照合するだけでも相当な負担になります。
2つ目はサードパーティーのオンラインツールへアップロードして一括処理することです。手でメタデータを書き換える手間は減りますが、ためらうセラーも多いはずです。画像を他社サーバーへ送る以上、商品選定用画像や独自素材が保持されないか、アカウント関連情報まで収集されないかという不安が残ります。まだ公開していない新商品の画像なら、こうした懸念は現実的です。
この2つで迷っているなら、実はもっと気楽な3つ目の方法があります。画像を最初から最後まで自分のPC上だけで処理し、どのサーバーも経由しない方法です。私たちも自社アカウントの既存画像を整理するときに同じ問題にぶつかったため、無料の小さなツールを作って公開しました。今まさに対応を進めているセラー向けに共有します。Niceggie AI人物画像タグ付けツール
使い方は簡単で、4ステップです。AI生成の人物を含む商品画像を読み込む(フォルダごとのドラッグ&ドロップ対応)→ 一覧で処理対象の画像にチェックを入れる → 「検証してタグ付け」をクリックすると、ツールがローカル環境で直接開示タグを書き込み、自動で検証する → 完了後に「タグ付け済みをエクスポート」を押してまとめてダウンロードすれば、そのままlisting更新に使えます。
セラーが気にしやすい細かな点も挙げておきます。
- 画像はアップロード不要:処理はすべてブラウザのローカル環境で完結し、画像データは1バイトもPC外へ出ません。Amazonアカウントへの認可や接続も不要です。
- 見た目は完全に同じ:タグは非表示のメタデータ領域にだけ書き込まれ、再圧縮も透かし追加も行いません。書き出し後の画像は元画像とピクセル単位で一致します。
- すでにタグ付きの画像は自動スキップ:もともと開示タグが入っている画像は、検証後にそのまま「タグ付け済み」と表示され、重複処理やエラーの原因になりません。
- 例外は個別に表示:未対応形式や書き込み検証に失敗した画像は、「例外」として別にまとめられます。まとめて確認しやすく、他の画像処理の進行を止めません(対応形式は継続的に拡張中です)。
最後に
今回の新ルールは、越境ECにおけるAIコンプライアンス強化の一場面です。画像の表示ルールからタイトル文字数の制限まで、Amazonは「AI利用は透明であるべき」という考えを、より具体的な運用ルールに落とし込んでいます。抜き取りチェックを受けてから慌てるより、今のうちに既存素材を一通り見直し、タグ付けを新規出品フローの通常作業にしておくほうが現実的です。
ルールはこれからも更新されます。ただ、手元で確実に対応できることを先に片付ける姿勢は、今後も変わらず有効です。